バイアグラには腹上死の可能性があるって本当?

薬にまつわる素朴なギモン

バイアグラには腹上死の可能性があるって本当?

これまで発売された数々の薬の中でも、ファイザー社の「バイアグラ」はED治療を大きく変えた画期的な薬として有名です。しかし発売当初、腹上死事故が何件か起こったことがニュースになったのを記憶している人も多いと思います。 その真相は、「薬の不適切な使い方」にありました。


バイアグラは、誰でも使える薬ではない

バイアグラは、1998年にファイザー社がアメリカで発売開始したED治療薬です。それまでのED治療といえば、陰茎に注射を打ったり、もしくは勃起をサポートする器具を使ったりするものが中心でしたので、飲むだけでOKのバイアグラが登場したことは、世界中の男性たちに大いに喜ばれました。

しかしバイアグラは処方箋の必要な薬ですので、誰もが自由に使っていいわけではありません。医師の問診を受け、持病や服用中の薬などを確認する必要があります。たとえば半年以内に心臓発作や脳出血などで倒れた人や、血圧の高すぎる、もしくは低すぎる人などは使用が見送られる場合もあるのです。

特に危険なのは、狭心症の治療などで「硝酸薬」を使っている男性です。ニトログリセリンが代表的ですが、それとバイアグラを併用してしまうと血圧が急激に下がって、最悪の場合は死に至ることもあります。

というのも、もともとバイアグラの主成分である「シルデナフィル」は、狭心症の治療薬として開発されたものだからです。血管を拡張し、血のめぐりを良くする成分ですので、狭心症にもEDにも共通する効果となっています。 ですから硝酸薬と併用すると、同じ効果が重なってしまい、血管が拡張されすぎて急激な低血圧状態につながる恐れがあるのです。


ネットの個人輸入で、再び事故が起こる可能性も

バイアグラ発売時に国内外で起こった腹上死事故のほとんどは、この「薬の飲み合わせ」が原因だったといわれています。きちんと医師の診察を受けていれば問題なかったのですが、発売当初はまだ日本で未承認だったため、個人的に薬を取り寄せた男性たちがいたのです。 そして一部の男性が併用禁忌薬と一緒にバイアグラを使ってしまったために、重大な事故につながってしまいました。

国もその事態を重く受け止め、翌1999年には、日本としては異例のスピードでバイアグラを承認しています。これによって日本でも医療機関で処方を受けられるようになりましたので、その後は腹上死事故のニュースも耳にすることはほとんどなくなりました。

ただしネット社会の現在、バイアグラには別の問題が浮上しています。それはインターネットを通した薬の個人輸入です。ひと昔前と異なり、今や誰もがボタン1つで簡単に海外から薬を取り寄せることができます。特にED治療薬は保険が利かず高額なため、ネットで少しでも安く手に入れようとする男性たちが後を絶たない状態なのです。

しかしバイアグラには偽造品が多数見つかっており、大きな問題になっています。このままでは再び重大な事故につながる可能性もあるでしょう。 幸い2014年にはバイアグラの特許が切れ、正式にバイアグラジェネリックも発売になりましたので、節約したい人はぜひこちらを医療機関で購入するようにしてください。