漢方薬が国際問題になっている? | 医薬品にまつわるギモン

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漢方薬が国際問題になっている?

漢方薬は古代中国から伝わる複数の生薬を使って薬理作用を強くし病気を治す東洋医学の代名詞ともいえる医薬品の一種です。その材料は私たちもよく耳にするウコンや朝鮮人参などの薬草が主です。中には動物や海産類などもあります。しかし、現在はこの動物由来の材料で国際問題にまで発展しているものがあるのです。


もはや絶滅寸前!サイの角

サイは大きいもので4m、体重も3トンを超える大型の哺乳類です。皮膚も分厚く、動物の中では最も硬い体をしており、肉食獣に襲われてもびくともしません。しかも50キロ近い速度で走れるため下手をすると車も吹き飛ばします。アフリカの他、インドなど東南アジアにも生息していますが絶滅の危機にあります。

サイの角が高値で取引されるため密漁が絶えないのです。サイの角が漢方に用いられるために密漁されているのです。その価格は金より高く、一キロ当たり日本円にすると約650万円になります。漢方の効果としては滋養強壮やガンに効くと言われていますが、科学的な研究によると効果は立証されていません。アフリカでは密漁対策にあらかじめ角を取る、マイクロチップを埋め込む、暗視装置付きの銃で武装して警備するなど保護対策が取られています。


加藤清正も求めたトラの肝

トラは大きいものでは3m近くになり体重も1トンを超える大型のネコ科の肉食獣です。特徴的な縞模様は藪などの中で身を隠すのに適しており、獲物に気づかれずに忍び寄ったり待ち伏せしたりするのに適しています。生息していない日本にも伝わっており強さの象徴として絵描かれました。実はこのトラも漢方の材料として用いられてきた歴史があります。

事実かは定かではありませんが、日本で有名な話は加藤清正が豊臣秀吉のために朝鮮半島に出兵した際にトラの肝を求めてトラ退治をした話があります。この他、骨を使った薬用酒やひげを使った歯ブラシ、目がてんかんに効くなどさまざまな効果があると言われています。毛皮も高値で取引されており、密漁が後を絶たないのです。しかも近年の開発や過去のスポーツハンティングなどの結果、生息地に数そのものが減少しています。また家畜を襲うことがある為害獣として駆除されてしまうのです。密輸も後を絶たず、対策が取られています。


漢方になる珍獣、センザンコウ

体中を鋭い鱗で覆ったアリクイのような姿の生き物がセンザンコウです。体毛が変化した松ぼっくりのような鱗を持ち、南米のアルマジロにも似ていますが防御のみに特化したアルマジロに対してセンザンコウは鋭利な鋭さを持っています。先ほども言ったようにアリクイに似ていることからアリクイの仲間と考えられてきましたが、最近の研究ではネコ目に近い生き物であることが分かりました。

このセンザンコウも漢方の材料として重要があるほか、珍味であるということから食用にもなっています。しかし、一度に一匹しか生まないという繁殖速度の遅さから絶滅の危機が近づいています。近年では東南アジアから中国に向けての密輸が多発しており、14トンの冷凍されたセンザンコウが見つかったこともあります。

ここで紹介したのはすべて絶滅危惧種であり、ワシントン条約のリストにも入っている貴重な生き物ばかりで国外に持ち出すことは犯罪です。これは漢方薬を扱う日本にとっても他人ごとではないのかもしれません。これら動物たちの為にも対策が待ち望まれます。