漢方薬は体にやさしいのか?

薬にまつわる素朴なギモン

実験

漢方薬なら体に優しいって本当?

「ケミカルな薬は副作用が強いから、漢方薬がいい」と考える人は多いようです。植物由来の生薬から作られた漢方薬は、「自然派」「体に優しい」というイメージがあるのでしょう。

確かにそのような側面はありますが、薬である以上、漢方にも副作用はあります。中には、毒草と呼ばれるものから作られた薬もあるのです。


異常がみられたらすぐに中止を

毒草を薬に変えたものとして有名なのは、トリカブトです。古今東西を問わず、毒草として知られるトリカブトですが、漢方ではその根を「附子(ぶし)」という生薬にしています。 おもに強心作用や鎮痛作用があるとされ、「桂枝加朮附湯(ケイシカジュツブトウ)」という漢方などに活用されています。

もちろん毒性が強いため、毒を弱める処理(修治)がおこなわれますが、一歩間違えるとトリカブト中毒になってしまう可能性もあるのです。 薬と毒は表裏一体、ということの良い例といえるでしょう。

また漢方薬の副作用で有名なものといえば「小柴胡湯」です。肝臓疾患によく処方される漢方ですが、副作用として間質性肺炎を起こしやすく、死亡者も出たことでニュースとなったことがありました。 その数は決して多くはありませんが、少しでも異常がみられた場合はすみやかに使用を中止することが重要です。


漢方はもともとオーダーメイドの薬

漢方で重篤な副作用が稀に起こる一因として、漢方薬の性質と現在の処方体制が合っていないことが挙げられます。

日本で保険適用として処方できる薬は、あくまで特定の病気や症状を改善するためのものです。つまり体質改善や病気の予防目的では対象にならないため、漢方薬も保険を適用させる場合は何らかの病名をつけなければいけません。

しかし本来の漢方薬は、患者さんの体質や自然治癒力に合わせ、オーダーメイドで処方するものです。たとえば同じ病気の人でも、冷え体質の人と暑がり体質の人には処方する薬が異なりますし、まだ病名はつけられない「未病」にも処方されることがあります。

もととなる生薬の配合比率も、患者さんに合わせて適宜調節するのが漢方です。同じ名のつく薬でも、メーカーによって有効成分の比率がまったく異なりますので、漢方薬にジェネリック医薬品は存在しないのです。

1人ひとりに完全に合わせた処方ができれば、副作用が現れることも防げるというのが漢方医の考えです。しかし実際は健康保険の制度が足かせとなっているため、画一的な処方をせざるを得ないといわれます。 本当に漢方にこだわる医師が、あえて保険適用をせず自由診療をおこなうのは、こういった背景があるからなのです。

とにもかくにも、植物由来の漢方といえども副作用は起き得ることから、しっかり用法・用量を守り、おかしいと感じた時には医師に相談することが大切です。