薬は思い込みで効果が出る?

薬にまつわる素朴なギモン

薬は思い込みもあるって本当?

「病は気から」と昔からいわれますが、実は薬も「思い込み」によって効果の感じ方に違いがあることはよく知られています。 どうせ同じ薬を使うならば「絶対良くなる!」「これは画期的な新薬だ!」と思い込んで使ったほうが、効果は本当に高まるのかもしれません。


プラシーボ効果とは?

新薬を開発する際、かならずおこなわれる治験の1つが「偽薬(プラシーボ)」を使ったテストです。有効成分が含まれた薬と、まったく含まれていない薬の両方を用意し、それぞれ別グループに「新薬です」と言って使用してもらいます。

薬の効果測定の一環として実施されるのですが、プラシーボのほうを使用したグループにも、ほぼ一定の割合で症状の改善がみられるのが興味深いところです。プラシーボは、ただの砂糖の塊だったりするにも関わらず、「これは画期的な新薬である」と思い込むことによって、何らかの効果が現れると考えられます。「プラシーボ効果」と呼ばれるものです。
参考サイト⇒プラシーボとプラシーボ効果について
実際、薬を携帯しているだけでも、安心感から発作が起きる頻度が減ることは多くの人が経験しているのではないでしょうか?心身には密接な結びつきがありますので、思い込み作用は時に科学では説明がつかないほど大きなものです。

ちなみに、不眠を訴える患者さんに対してこれ以上の睡眠薬を処方するのが難しい場合、医師がビタミン剤などを睡眠薬だと偽って処方することは、法律によって認められています。これもプラシーボ効果を利用した正当な医療行為の1つです。

ただし治験の現場では、偽薬を使うことに倫理的な批判も多いことから、現在では多少の薬効を含んだ類似薬が使われることが増えています。


気の持ちようでがんも治る!?

何度かテレビでも紹介されている、アメリカで起きた実話があります。

かなり進行したリンパ球がんの男性患者がいましたが、全身に腫瘍ができていて、もう余命はわずかとなっていました。しかし何としても治りたい彼は、「クレビオゼン」というがんの新薬が出たことをニュースで知り、医師に自分に使ってほしいと頼みました。

まだ試験段階の薬でしたが、医師は説得に負け彼に投与。すると末期的だったはずの彼の腫瘍はどんどん小さくなり、投与から10日後には退院したそうです。

しかし2ヶ月後、「クレビオゼンの効果に疑問」との新聞記事が載り、彼のがんは再発。これをみた医師は、ある試みをおこないます。「クレビオゼンを改良した新薬ができたので、これなら効果があるでしょう」と言い、ただの水を注射したのです。

すると、またしても彼の腫瘍は消えて行き、全快。しかしその2ヶ月後、今度は正式に「クレビオゼンの治療効果なし」という新聞記事が掲載。その2日後に彼は帰らぬ人となりました。

思い込みの力を証明する究極のエピソードではありますが、同じようなことは実際、私たちの身近でも多かれ少なかれ起こっているのかもしれません。