薬はどうやって作られているの?

薬にまつわる素朴なギモン

薬はどうやって作られているの?

1つの薬を作るためには、非常に長い年月と莫大な開発費がかかります。どの製薬会社も、優れた新薬を作ろうと日々試行錯誤していますが、その成功率は何千分の一とも何万分の一ともいわれるほどです。


薬ができるまでの長く険しい道のり

新薬の開発は、まず原料(有効成分)となる候補物質探しからスタートします。たとえば「痛みを抑える薬」を作りたければ、鎮痛効果のある物質を探さなくてはいけません。

薬効のある植物や木、または細菌などの天然物から抽出することもありますし、西洋医学の薬では石油から分離・精製した成分を使うこともよくあります。これらの候補物質は全部で100万種類以上あり、その中から何千、何百と段階的に絞り込んでいくのです。

ある程度絞り込まれたら、その成分に対してさまざまな試験をおこない、もっとも薬として使えそうなものをスクリーニングしていきます。しかしその中から実際に新薬として発売まで漕ぎ着けられるものは非常に少なく、確率は3万分の1ともいわれるほどです。

また原料が確定されても、その後は薬としての効果を確かめる「薬効薬理試験」や、安全性を確認するための試験、安定性や代謝などを調べる試験など、数多くのテストを繰り返す必要があります。 その後、人を対象とした治験を段階的に進めていき、安全性と有効性に関するすべてのデータをそろえて国に承認申請をするという流れです。

ここまでにかかる期間はおよそ10年以上、また費用は数百億~一千億にまで上ります。しかも最終段階で失敗し、泣く泣く開発をあきらめざるを得ないことも珍しくありません。 薬の開発とは、それほどリスクの高いものなのです。


思わぬ偶然から出来上がった薬もある

新薬の開発は通常、まず作りたい薬の構想を練り、それに合った候補物質を見つけることから始まりますが、中には思わぬ形で薬が出来上がることもあります。

たとえば世界初の抗生物質「ペニシリン」は、イギリスの細菌学者アレクサンダー・フレミングが、実験途中で放置していたシャーレに生えたアオカビの中から偶然に見つけたものとして有名です。

他にも、思いがけない発見から作られた薬は多数存在します。たとえばED治療薬の「バイアグラ」は、もともと狭心症の治療薬として開発されたものですし、抗がん剤の「シスプラチン」は電場と大腸菌の関連性を調べていた中で偶然に発見されたものです。

薬ではありませんが、2012年に「ノーベル生理学・医学賞」を受賞した山中伸弥教授も、iPS細胞の作製は「運がよかった」というようなコメントを残しています。しかし偉大な発見の陰には、必ず数えきれないほどの努力と挫折がつきものです。ペニシリンを発見したフレミングも、その発見自体は偶然でしたが、感染症を治療するための物質をずっと探し続けていたからこそ見つけられたのだといえます。

新薬や新たな治療法の開発とは、熱意ある研究者がものすごい確率の中から、神の作ったプログラムをたまたま解き明かす…というようなことに似ているのかもしれませんね。