未承認の海外薬を処方することってできるの? | 医薬品にまつわるギモン

薬にまつわる素朴なギモン

未承認の海外薬を処方することってできるの?

国内で承認されていない海外の医薬品を処方するためには、厚生省から薬監証明を取得する必要があります。一見、薬を安全に処方するためのシステムのように思えますが、薬監証明の取得には抜け道も多く、安全性の低い海外医薬品の横行を招く原因となっているのも事実です。今回は私たちの安全な生活に関わってくる問題として、薬監証明取得の実態にクローズアップしてお話しします。


薬監証明の取得条件

厚生省は医師に対し、未承認の海外医薬品を無断で処方することを禁じています。未承認の海外医薬品を処方するためには、薬監証明を取得しなければなりません。薬監証明の取得にはいくつかの条件を満たす必要があります。以下にその条件をご紹介しましょう。

(1)治療上の緊急性が認められる
患者さんの容態が一刻を争うような危険状態にある場合、且つ、その症状に対して海外医薬品の効果が期待できる場合です。まずは患者さんの健康を第一とする考え方ですね。

(2)国内で流通している医薬品では代替できない
すでに国内にある薬で同じ効果が期待できるのであれば、国内の薬を優先して使用しなければなりません。

(3)医師が自身の責任のもと、患者の治療のために使用する
医師が患者さんの治療に必要だと判断した場合です。この場合、処方に伴うすべての責任は医師に帰属します。


海外医薬品を処方するクリニックの実態

薬監証明取得の条件は上記した通りです。しかし、これらの条件を読んでいて何か違和感を覚えた方はいないでしょうか。近年クリニックでさえも処方されている海外製バイアグラをとりあげ、薬監証明取得条件の問題点を探ってみましょう。

バイアグラは勃起不全、いわゆるEDの治療に使用される医薬品です。EDで深刻に悩んでいる男性は少なくないはずです。ただ、命にかかわる病気で一刻も早く治療しなければならないかというと、そんなことはないと考えるのが自然でしょう。したがって上記の(1)「治療上の緊急性が認められる」の条件はあてはまりません。

また、ED治療薬は最もスタンダードなオリジナルのバイアグラのほか、レビトラ、シアリスといった種類が出回っており、それぞれすでに効果が認められています。EDの治療はそれら既存の承認薬で代替できますので、わざわざ海外製バイアグラの薬監証明を取得する必要があるとは考えられません。つまり上記の(2)「国内で流通している医薬品では代替できない」という条件にも当てはまらない、ということになります。

問題なのは(3)「医師が自身の責任のもと、患者の治療のために使用する」という条件です。これは裏を返せば、医師のさじ加減しだいで未承認の海外薬品も処方できる、ということになります。悪質なクリニックではこの条件を逆手にとり、海外バイアグラの薬監証明を取得しているのです。医院によっては服用して何かあった場合は責任を負いかねますという旨の承諾書にサインさせるとこえろもあるそうです。これは、本来は医師が負うべき処方の責任も、患者さんになすりつけられているのが現状です。


薬に対する警戒心を持たなければならない時代

もちろん海外医薬品のなかには確かな効果を発揮するものもあります。加えて、海外ジェネリック医薬品は安価で手に入りますから、患者さんが飛びつくのもうなずける話です。しかし、海外の医薬品を国内にて仕入れる際に100%安全な正規ルートが存在しないため偽物が多く混ざっている以上、クリニックで処方される薬でも安心はできません。ご自身の安全を考えるなら、「正規のルートで入手された薬なのか?」という警戒心を常に持っている必要があるのです。

参考になるサイト→病院からジェネリック薬を処方されれば安全か?|バイアグラ個人輸入に潜む罠